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#25 準備万端

last update Last Updated: 2025-07-15 23:59:28

 座学試験が簡単過ぎて少し焦りを感じているミシェルは実技試験に向けて入念に身体と魔力の体操をしていた。これは少しでもいい結果を残すための悪あがきだ。少しでも力強く、そして繊細に身体と魔力を動かせるように。そんなおまじないみたいなもの。でも、ずっと続けてきたことだからルーティンという意味でもなかなかバカにできないと思う。

「受験番号1番から10番、前へ!的に向かって放つ魔法は各自呼ばれるまでに決めておけ!呼ばれたら試験官の合図でその魔法を構築して撃つことになるからスムーズな試験の進行のためにもよろしく頼む。」

 試験官さんが十人いてそれぞれ違う人に見られながら違う的を狙うのか。これは何を測るんだろう。威力?精密性?速度?まぁ、試験で撃つ魔法は合図されてからとは言っていたが試験で撃つ魔法以外の行使に関しては特に言われてないし少し準備をしておくとしようか。

 とりあえず御分霊を出しておこう。注意されたら注意された時だな。怒られたら謝って魔法を解除すれば許されるだろう。なんてったって完全実力主義の学術都市だからね。

 あ、そうそう!この第三試験会場にいるのは二百人くらいらしい。何個あるのか分からない屋外訓練所がそれぞれ試験会場になっていて受験番号の前の記号で割り振られているらしい。だからそろそろ……

「試験番号180番から190番前へ!」

 やっとチームミシェル(ミシェルの御分霊4体を自らの周囲に配置している。)の出番か!さてさてさ〜て!的を消滅させるくらいの気持ちで頑張っちゃうぜ!どんな的をぶち抜けばいいのか。それ次第だよね。御分霊含めて5人いて今の僕にぶち抜けない物はないとは思うけどどうなることやら。

 御分霊たちとの意思疎通よし!自分への各種強化魔法及び祝福よし!魔法の構築イメージよし!座学の結果のこともあるし不安材料はいっぱいあるけど実技に関しては同じ受験者と比べて飛び抜けた実力を持ってる自信あるし大丈夫……なはず!よし!

「二次試験用意……始めぇ!」
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